日本最西端、与那国島にある回廊のような廃墟
台湾を望むことができる日本最西端の島、与那国島にある製塩所跡という廃墟。
さすが日本の端というレアな場所ということもあってか、日本国内の廃墟の中でも比較的珍しい回廊型の廃墟だ。
現在ではむき出しのコンクリートの柱と僅かな構造物だけを残すだけとなっているが、シンプルな石造りの回廊の美しさは日本屈指かもしれない。
ここはアダンの夢製塩所と呼ばれた場所で、製塩を行っていた工場であった。
元々は九州商事株式会社が自社製品の味噌や醤油を製造するために作られた製塩所であり、この回廊のような場所には塩樽が保管されていた。おそらく乾燥で使っていたのだろう。
製塩所が建てられたのは1985年であるため国内廃墟の中では新しい部類に入るのだが、2004年に発生した火災によってこの場所は放棄されてしまったようだ。
2004年から数えると20年近くたつが、海沿いの潮風に加え夏ともなると風雨激しいシーズンもあることから劣化の勢いは激しく、天井のコンクリートが崩落している箇所が多く見受けられた。このまま瓦礫になってしまうのはそう遠くないかもしれない。
ちなみにアダンとは漢字で【阿檀】と書くが、亜熱帯から熱帯の地域で育つ植物のこと。実はパイナップルのようなゴツゴツとした感じのものになり、甘い匂いを出すが繊維質が多いため食用には適さない。
製塩所にアダンの名を入れたのは地域で育つ特徴的な植物ということで、地域性をもたせたのだろう
所在地
与那国空港から車で8分程度の場所にある。島の観光地図にも掲載されている場所だが、近隣には駐車場はない。