異様な姿で圧倒される不思議な廃墟
強風が吹くことで知られる室戸岬から非常に傾斜角度のある山を登ると突如現れる不思議なかたちをした塔のような廃墟がスカイレストニュー室戸だ。
1978年に閉業したこの施設にはレジャー施設兼レストランだった。建物は4階建てとなっており、螺旋階段機能を兼ねた高さ17m程度の大きな柱が3本(ちなみに2本が客用で1本が従業員用となっている)。そこを中心に1階と3階部分では3方向に通路(歩ける部分)が作られており、2階はこの地域特有の強風を受け流すため、吹き抜けの展望スペースが設置されている。
フロアごとに見てみると、
- 1階:来客用のスペースとして、喫茶コーナー、宴会場、ゲームコーナーがあり、バックヤードで受付、事務室、休憩室、厨房
- 2階:展望室
- 3階:レストラン
- 4階:屋上展望台
となっている。
なぜこのようなデザインになったかというと、一帯が自然公園法で規制された地域であったため、美観保持の観点からさまざまなデザイン変更がなされ、この形になったらしい。
いずれにしても、常に強風が吹きすさぶこの地域で景観を崩さないデザインが、このかたちというわけである。
肝心の物件についてだが、山上にあるとは言え強烈な潮風が年中吹き荒れる場所にあり、メンテナンスもされていないため崩落が始まっている。一部の階段スペースや展望スペースはコンクリートの崩落、鉄骨部分がダメージを受けており、柱の耐久性がなくなれば危険な状態になってもおかしくない。1階部分の部屋も植物の侵食が激しく、コンクリートの亀裂を生む原因となるだろう。見た目以上にダメージが深刻な廃墟だった。
所在地
室戸岬から県道203号線を車で6分ほど登った場所にある。非常に傾斜があるため運転には注意を。また室戸岬へは高知市や徳島市といった主要な都市からのアクセスがクルマで2時間以上かかるため、アクセスは少し困難だ。