焼肉要塞とも呼ばれる未完成廃墟:ブロックアート(神奈川県真鶴町)

焼肉要塞とも言われる所以

神奈川県の南西、静岡県との県境近くにある湯河原より、少しだけ突き出たような半島が真鶴半島である。
真鶴町のエリアでもあるのだが、漁村らしい風景のほか、観光スポットとしても知られた場所だ。

そんな真鶴半島に関東エリアの中では有名と言われる廃墟「ブロックアート」がある。
ブロックアートとは建物名称ではなく、コンクリートブロックでできた構造物に無数の落書きがあることからそう名付けられた。

元々は海の見える大型の焼肉屋になる予定だったが、どういうわけか工事中が途中で中断。コンクリートの打ちっぱなしの構造物だけが取り残されている。
このことから別名「焼肉要塞」の名を持つ廃墟でもある。

近くには真鶴半島から海を見渡せる展望台、自然を活かした観光名所、そして今では廃墟となってしまったが真鶴水族館もあったことから、観光に訪れた客を取り込もうという算段だったのだろう。
他の飲食店廃墟だと「どうしてこんなところに作った?」と頭を捻ってしまう物件もある中、合点のいく立地なだけになぜ未完成となってしまったのか気になるところではある。

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内部はスプレーによる落書きで埋め尽くされている

ブロックアートは半島を周遊する道路のそばにあり、道からそれて木々の間を進んでいくと森のなかにある要塞かのような出で立ちで眼前に姿を現す。
傾斜地にあるためか、1階部分は半地下のような構造になっており、全体で見て3階建ての建物になっている。

コンクリート打ちっぱなしの未完成廃墟であるため、骨組みのような姿ではあるがこの廃墟の特色はなんと言ってもコンクリートを埋め尽くした落書きの存在だろう。

もっとも廃墟に落書きはつきもので、何もここだけの話ではない。
注目されるに至った理由は、廃虚の一部だけでなく、ほぼ全てに落書きされてしまったことにあるのだろう。

またスケルトン構造という点も良かったのではないだろうか。生活感がまったくなく、調度品すら存在しないコンクリートの壁面はキャンバスそのものである。
そうした何もない壁に落書きで埋め尽くす。中途半端であれば見向きもされなかっただろうが、ここまで来ると圧巻である。

廃墟好きの人にとって落書きはあまりいいものと思えないが、この廃虚の落書きだけは別物だ。
いちばん有名なのは建物のメイン階段の落書き。「もののけ姫」のシシ神様が描かれた壁面である。
スプレー塗料で描いたものなのだろうが、これほどリアルに表現しているのもそうそうないだろう。

先程の説明の通り未完成廃虚ではあるものの、森のなかにあるということと落書きの存在、そして階段の構造から雰囲気が非常に趣きのあるものとなっており、ヒップホップのPV撮影でも使われているそうだ。

所在地

真鶴半島に入り、真鶴岬に向かう道を走る。
しばらくして真鶴岬へ向かう道が現れるが、その交差点をスルーして、そのまま半島をぐるりとまわるように進む。
すると、ブロックアート近くに到着することができる。

注意点は道が一方通行であるため、進行方向に注意する必要があるということと、日によってはサイクリングや散策する人もいるため、道路状況には気をつけたほうがいいだろう。

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