北炭の自家用発電施設として存在した夕張の火力発電所跡
かつて北海道炭礦汽船(通称:北炭)が経営していた炭鉱の一つに夕張の炭鉱があったのだが、事業インフラを目的とした火力発電所跡で夕張を代表する遺構と言ってもいいだろう。
清水沢火力発電所は1926年に完成、以後閉山する1990年代まで稼働していたものと思われる。
現在は東亜建材工業株式会社の作業場として建物の大半が利用されている。
訪問した2015年時点では、会社の受付で記帳などを済ませれば中を見学することができたが、2020年現在は一般社団法人清水沢プロジェクトによって見学事業が行われており、完全予約制の有料公開となっている。
またこの建物の美しさを利用した「夕張清水沢アートプロジェクト」という芸術関係のイベントも開催されており、一般の人にも広く公開されている。アートプロジェクトと廃墟の親和性は非常に高いため、こうしたプロジェクトは傍目で見ていても応援したくなるものである。
とはいえ、世界遺産や廃墟を利用した観光スポットにありがちな、景観を整えるための加工や工事はほぼ行われていないため、廃墟と呼ぶにふさわしい状態で残っているところもまた珍しい点として挙げることができるだろう。
もっとも老朽化は日々進んでおり、この場所をどう残していくかが課題となっている側面もあるようだ。
中に入ってみると、1階には計器の並ぶ機械室、階段を上がると利用目的は不明だが、発電所の中でも広いスペースを見ることができる。
どの場所をとっても廃墟としての美しさの魅力で溢れており、アクセスの難しさも高くないことから、可能であればぜひ訪れてもらいたいスポットである。
所在地
JR石勝線:清水沢駅から徒歩で15分程度。
新千歳空港から車で道東自動車道を経て50分ほどでアクセスできる。
先述の通り東亜建材工業株式会社の私有地に存在するため、トラックの往来が激しい。道路状況に注意して入るようにしよう。